通勤で教えてもらった里山保全
先週、通勤電車の中で、森林ボランティアの活動をしている元同僚の先生に会いました。そこで、里山保全の話題がでました。
里山とは、人里に近い二次林のことをいいます。二次林は、その場所の原生林が伐採や風水害などによって破壊されたあとに成立したものです。里山は、下草が刈られ、立木の間引きや枝打ちをされて適切な空間をつくられ、それらの木や枝が薪炭の材料や椎茸を栽培するための原木として利用*1されることで保たれてきました。今、その里山が荒れてきています。
里山が荒れる理由は簡単です。60年代から農村地帯でも電気やガスの登場によってエネルギー源としての薪炭の価値がなくなってきたからです。それで、里山は放置され、ヤブとなったり、モウソウチクにおおわれ荒れてきました。そこで、全国各地で、里山を保全しようという活動が盛んになってきました。
しかし、薪炭を取らなくなった今、里山保全の目的は次のようなものになってきました。
その先生は、今の里山保全に疑問をもたれています。里山保全ボランティアによって間引きされた立木や枝打ちされた枝は、一部は炭が焼かれたり、里山に階段をつけたりなどの整備に使われますが、ほとんどは使われることなく放置されるそうです。また、間引きした後に、サクラなどを植林することもおかしいと言います。サクラは、これまで里山に植えられたクヌギなどに比べて成長が遅く、成長するまでに下草が茂ってしまうそうです。これらのことを真剣に考えて行動しないと、本当の里山保全だとはいえないそうです。
間引きされた立木や枝打ちされた枝は、本来のエネルギーを取り出すために、消費地の近隣にバイオマス発電プラントを建設し、エネルギーをつくるとよいそうです。具体的には、間引いた立木を粉砕し、燃焼させ、ボイラーで蒸気をつくり、タービンを回して発電し、エネルギーを回収します。この発電が、雇用創出にもつながるといいます。問題点もありますが。
里山保全ときれいごとをいっても、間引かれた立木や枝打ちされた枝の利用方法を考えなければ、本当の里山保全とはいえないかもしれませんね。また、それを真剣に考えなければ、里山保全も行き詰まると思います。環境教育においても、生徒とともに考えてみたい問題です。通勤時間のわずかな時間でしたが、大変参考になりました。
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*1:人間による適度な自然のかく乱