生徒指導と学び

ote2005-11-14



 公立中学校や高校では、学習意欲をなかなかもつことができない生徒への対応に苦慮しています。始業のチャイムが鳴っても教室に入ろうとしない。授業が始まっても私語をやめようとしない。学習指導に従わない。注意すると反発する。いろいろな形があります。


 学習指導においても、生徒指導の機能を生かすことが大切だと考えます。以前、『初等教育資料2004年12月号』で「生徒指導の機能を生かした学習指導の推進」という特集がありました。そこでは、学習の中に次の3つの視点を取り入れることが大切であると書かれてありました。

  1. 自己決定の場をつくる。
  2. 自己存在感を与える。
  3. 共感的な人間関係をつくる。


 また、先の特集を読んだときに、佐藤雅彰・佐藤学「公立中学校の挑戦」を思い出しました。富士市立岳陽中学校の取組を描いています。ここでは、各教師の自律性を尊重しながら、学習観の共有を行っています。それは「活動的で協同的で表現的な学び」を構築するということです。

  1. 学びの基本は「問い(疑問)→探究→表現(解決)」という活動。
  2. 授業に「活動」「小グループによる協同」「表現の共有」を組み込む。できるだけモノを用意する。小グループで人と人とのかかわり(交わり)をもたせる。
  3. 意味の「つながり」の発見、仲間の表現との「つながり」、テキストとの「つながり」をもったり、自分の考え方を吟味したり、深めたりする「表現の共有」を行う。
  4. 教室の机をコの字に配置し、子ども同士の対話を重視する。
  5. すべての子どもが授業に参加するように努力する。授業中に寝ている(思考を停止している)子どもを出さない。
  6. 学びの質を高め、結果的に学力が高まる学びを追究する。


 このような取組により、生徒一人一人が柔らかく真摯に学ぶ姿が見られるようになった。教室から出ていく生徒はいなくなり、机に突っ伏している生徒も激減した。教室に知的で健康的な笑いが甦ってきた。不登校の生徒が教室に戻る姿も見られ、校内の暴力事件や非行も起こらなくなったそうです。


 「生徒指導」を視点とした学習、「学び」を視点した学習、具体的な取組は同じものですね。すべての生徒に学習意欲を喚起させる最後の決め手は、すべての教員がスクラムを組んで本気で子どもたちとかかわることだと思います。


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