30年前に読みたかった本


最新脳科学が教える 高校生の勉強法    東進ブックス

最新脳科学が教える 高校生の勉強法 東進ブックス


 「最新脳科学が教える高校生の勉強法」を読みました。30年前に、この本と出会っていたらと思わせる本です。脳科学の知見から得た「記憶」と関連付け、勉強法を説くので、説得力があります。


 著者の池谷さんは、東京大学大学院、薬学系研究科の助手をしています。池谷さんのWebページを見てびっくり、将来を嘱望されている脳科学者であるとともに、大変多趣味であり、かつ、なかなかのイケメンです。天は二物以上のものを確かに与えています (^_^) 。

         池谷裕二 Webページへ


 本の構成は、読みやすい理論、脳心理学コラム、高校生の体験談と著者のコメントの3つからなります。また、所々に格言をちりばめています。
 理論では、一般的な記憶のメカニズムについて、海馬、扁桃体シナプスなどと関連付けて解説をし、そのメカニズムを利用した勉強法を伝授してくれます。この本の結論は次の通り。
 

 高校生になると、丸暗記よりも、ものごとの手順ややり方の記憶である「方法記憶」を利用した学習が大切である。それは、記憶した量自体は何の意味をもたないからである。むしろ、記憶したことをいかに活用するかという、その応用方法を記憶する方が重要である。


 脳心理学コラムでは、色彩心理学モーツアルト効果、情動喚起、特恵効果、作業興奮、初頭努力・終末努力など、内容とかかわる脳心理学をトピックス的に取り上げています。


 体験談も、「高1で履修した科目で受験するのは不利?」「わたしの究極の英単語暗記法」「自分は何のために勉強しているのだろう」「ぼくは受験恐怖症」「アメとガムで敵に勝つ」「参考書選びのポイント」などで、これらに池谷さんが科学的にコメントしています。


 「決断せよ。そして、いったん決心したことは必ず実行に移せ」フランクリン
 「人間は負けたら終わりなのではない。あきらめたら終わりなのだ。」ニクソン
 向学心に燃える高校生にピッタリの格言も心憎いです。


 脳科学と学習との研究が進む中、高校生のみならず、教師にも参考になる本です。授業の合間に、教科の学習法を話する機会がありますよね。その時に、この本の内容を関連付けて話をすると、説得力抜群、生徒からの信頼もアップすること間違いなしです (^_^) 。


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