心太(ところてん)


カラー版 四季のうた (中公新書)

カラー版 四季のうた (中公新書)


 この本は、「読売新聞」に連載されている「四季」を本にまとめたものです。

 7月は、暦の上ではすでに晩夏となります。なんとなく生活実感とは異なりますね。この本の中から、2つのうたを紹介をします。


 今はまだ梅雨。数日雨が続くと、ときには寒さすら感じます。しかし、梅雨が明けると、夏一番。外へ出ると、地面の上がゆらめき、すべてのものが陽の光を反射させます。

石も木も眼(まなこ)にひかるあつさかな    去来


 小学校の頃、学校にはプールがありませんでした。それで、夏休みには、すこし遠い地元の中学校まで歩いて行き、プールに入りました。2時間10円だったでしょうか。帰り道に小さな食堂があり、ところてん(心太)を売っていました。注文すると、コンニャクみたいな固まりを、木製の押し出す器具(ところてん突き)に入れ、ガラスの器の中にところてんを押し出していました。
 わたしの母親は、そんなものは不衛生だといいお金をくれなかったので、わたしは、友達が食べているのをながめるだけでした(/_;)。ところてんには、そんな寂しい思い出があります。 

くみおきて水に木の香や心太    高田正子


 季節の風情がなくなっていく今、子どもたちは、季節をどうとらえているのでしょうか。それとも、子どもたちは子どもたちなりに、季節の風情を思い出に刻んでいるのでしょうか。


 他人が詠んだうたに、自分の感覚や思い出、気持ちを重ねることは、とても面白いですね(^_^)。