毎日新聞社説「中教審経過報告」に思う

ote2005-06-13



 「総合的な学習の時間の一層の充実を」という見出しでの、中央教育審議会義務教育部会の審議経過についての12日付け社説です。総合的な学習の時間の見直しについて、次のように書かれていました。
 

  • 安易な思い込みによる拙速な削減はすべきではない。
  • 現実に見直しを進めるにあたっては、これまでの積重ねの評価や的確な現状分析が不可欠だ。
  • 総合学習がなぜ提唱されたかを考えるならば、その目指すところをいかにして実現するか、発展させるかを議論すべきだろう。


 昨年末の国際調査から、学力低下傾向が見られたことより、中山文科大臣より、総合的な学習の時間(以下、総合学習)の見直し発言がありました。現行学習指導要領下における教育課程実施状況調査が好結果でありましたが、見直しには変わりはありません。


 そもそも、総合学習は、現行学習指導要領の自ら学び自ら考えるいわゆる[生きる力]の目玉でした。掲げる理念は素晴らしいものの、それが各学校での実践となると、学習目的が明確でなかっったり、実践する教師一人一人が目標を深く把握していない場合もあるようです。当初予想されていた、活動するだけの総合学習となっている例も見られます。


 わが子どもが通っている学校でも同様で、野外活動でカレーを作ることを目的として調べ学習を行っています。しかし、カレーを作ることを通して、子どもにどのような力を付けさせたいのか、今ひとつ明確ではありません。中学校、高等学校へと上級段階へ上がるにつれて、総合学習が形骸化している現状もあります。かと思えば、総合学習に意欲的に取り組んでいる学校も数多くあります。総合学習の取組においても、二極分化があるのではないでしょうか。


 総合学習の見直しについては、次のことが肝要かと思います。

  1. 発想の転換従来の学習観にとらわれては、すべての教育活動が中途半端に終わるのではないでしょうか。目の前にいる子どもたちの実態を踏まえ、大胆に発想を転換し、子どもに力を付けるための総合学習に取り組まなければなりません。
  2. 学習指導リーダーの育成。文部科学省教育委員会、学習研究団体、学校が協力して、総合学習をはじめとした学習指導リーダーの育成を行うべきだと考えます。理論と自らの実践を融合させ、見通しをもったカリキュラムの編成ができる人材をつくることが大切です。総合学習の成否は、リーダーの力量にかかわっている部分が大きいと思います。
  3. 教員の多忙化解消。中山文科大臣が11日、静岡でのタウンミーティングで、「先生の義務をできるだけなくし、先生方がゆとりを持って子どもと向き合う時間を持てるようやっていこうと思う」と発言しています。教材研究を深めて、子どもと向き合う時間をつくっていただきたいと思います。
  4. 財政的支援。何事も、お金が必要です。素晴らしい取組をしていたり、計画をしているところには、手厚い財政的支援があればよいと思います。


 四大紙を比較すると、特に、毎日新聞は現行学習指導要領の理念に好意的ですね(^_^)。