教員専門職大学院


 文部科学省は6日、高度な専門性や実践的な指導力を身に付けた教員の養成を目指した、教員専門職大学院の基本構想を示しました。


 大学レベルより上(例えば、大学院)の教育を受けた教員の割合では、日本は世界でも最低レベルだそうです。フィンランドでは、教員に修士号の取得を義務づけていたり、アメリカでも教員の修士取得率が高く、小学校の校長先生も博士号取得が標準になりつつあるそうです。

教員専門職大学院の最大の特色は教育実習の充実。1種免許状をとる学部生に対しては、通常4週間(5単位)を充てているが、その倍の8週間(10単位程度)を修了要件とする方針だ。現職教員には実習を重視しつつ期間の短縮を認める。そのために、実習生を受け入れる学校を確保する「連携協力校」制度を新たに導入する。また、学校経営力をつけるためのコースも現職教員向けに用意する。
(6/7 朝日新聞


 教員専門大学院をつくるならば、次のようなことが実現すればよいと思います。

  • 対象を現職教員に重点化すること。学部から大学院に進学した学生は、現場を知らないだけに、問題意識をもちにくい面があります。その点、現職教員は問題意識をもちながら学習することができます。リカレント的な視点が必要だと思います。
  • 現職教員の派遣では、置籍校と連携した取組をすること。わたしも10年前に大学院へ行きました。そこで実践的な研究をしていたものの、置籍校とは物理的に遠かったように思いました。教員専門職大学院と現場が結びつくことにより、学校の教育力も高まりますし、派遣教員の力量も高まると考えます。
  • 学部学生から進学した学生には、「医師の臨床研修*1」的な研修を行うこと。これは大変難しいと思います。採用されてからの研修では、一定限度があります。
  • 学校経営を専攻する現職教員は、インターンシップ*2を行うこと。海外では、教員になってから、早い段階で管理職になるコースがあるそうです。経営の理論と実践を結びつけてから管理職になることが大切です。
  • 現職教員の教育系大学院における専門研究も奨励すること。教育系大学院を修了され、指導力を発揮している教員がたくさんいます。教員集団は、様々な特色をもつ、多様性をもった集団が望ましいと思います。


 教員専門職大学院が目的を達成するには、文部科学省、各自治体の教育委員会、学校の連携が必要不可欠です。

*1:医学部を卒業したのちに行われる初期研修をいいます。医師としての基本的な知識・手技などはこの期間に習得されるため、医師の教育において特に重要です。1968年以来、「卒後2年以上の臨床研修を行うこと」が努力目標として掲げられています。

*2:学生が、在学中に自分の専攻や希望、将来のキャリアに関連した就業体験を、実際の企業の生の現場で体験し行う制度