男子ハンマー、明日早朝に決勝 『室伏広治 超える力』文藝春秋
- 作者: 室伏広治
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/06/27
- メディア: 単行本
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男子ハンマーは、明日早朝4時20分が決勝です。室伏選手は、一昨日行われた予選を全体で2位の成績で通過しています。昨日、TUTAYAに立ち寄ったとき、一冊の本に目がとまりました。室伏広治『室伏広治 超える力』文藝春秋 です。
室伏広治選手については、わたしの専門(短距離)とはまったく違う分野なので、あまり詳しくは知りませんでした。それよりもわたしが少年の時に、同じくハンマー投げで活躍されて「アジアの鉄人」と呼ばれた室伏重信さんの息子といったイメージを強く持っていました。室伏選手は38歳。アスリートとしての肉体的には衰えがでているにもかかわらず、世界の第一線で活躍していることに深く敬服しています。今回、この本を購入したのは、そんな彼がどのような考えをもって競技生活を送っているか興味深かったからでした。
彼の競技に対する根底の考えは、「勝利至上主義」に陥らないということです。彼自身の自信にもよるところですが、自分のパフォーマンスをやりきる。それだけです。競技会ではライバルの記録を一切気にしない(見ない)で、自分の試技に集中するそうです。まさに、結果はついてくるといった感じでしょうか。
また、彼は研究者としてハンマー投げのバイオメカニクスを研究しています。共同研究者とともに、ハンマーの加速度測定センサを開発し、数理解析を行っています。この研究もアスリートしてトレーニングやハンマーを投げることへの楽しみにつながっていると言っています。
本には、彼がハンマー投げを始めた経緯、偉大なアスリートであった父親との関係、ケガに悩まされた話、アテネや北京オリンピックでドーピングに翻弄された話、年を重ねてからの練習、練習の工夫、セカンドキャリアの問題、社会貢献について、今の室伏選手の思いが綴られています。様々な競技に取り組んでいる多くの後輩に向けてのメッセージであるようです。陸上競技を知っている方も、知らない方にも物事を追求していく姿勢や広い視野をもつ大切さを学ばせてくれる本でした
エピローグは次のように結ばれています。
メディアでは私にとって4度目のロンドンオリンピックをアスリート人生の集大成と捉えているようだが、ロンドンオリンピック後に即引退と決めているわけではない。
ロンドンオリンピックに当面の目標を定め、ギリギリの一歩手前のトレーニングを続け、万全の中で、「選手生活最後のオリンピック」と力む必要はないと考えているからだ。最善の準備をして私はロンドンオリンピックの競技場に立ちたいと思う。そして、彼の地で躍動する私の「超える力」を見ていただきたいと思うのである。
ベスト・パフォーマンスを目指せ! 室伏選手 。
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