「困った」、最後の人権学習


 昨日、1年間の人権学習のまとめとして、全校人権学習会が講堂で行われました。夏休みの宿題であった人権作文の優秀作品を4つ、それぞれの作者が朗読をしました。とくに、今夏ボランディア宮城県の被災地に入った生徒の作文では、被災4か月後の生々しく残る津波の傷跡が語られ、ボランティアを支えるボランティアが必要ではないかという提言もなされました。



 その後、各クラスで人権HRが行われます。自分の人権にかかわる思いをスピーチすることが基本となっています。あらかじめ朝のSHRで、一昨日あわてて作ったプリントを使って1年間の人権学習を振り返りました。5月アイヌ学習、7月人権映画鑑賞会「ゆずり葉」、9月人権作文に学ぶ、11月部落問題学習、2月国際理解教育という流れで学習しました。スピーチはこれらの内容でも良いし、日頃思っていることでも何でもかまいません。人権に関係するのならば。


     H23今年度の人権教育の内.pdf 直


 毎年このHRでは、話す順番を決めずに、めいめいが気持ちが高まった時点で教卓の前に立ってスピーチをしてもらっています。順番を決めてしまうと、機械的にスピーチをして終わりということがよくあるからです。自分の思いを伝えることが大切ですから。最初はスピーチしにくいので、わたしが。そして、次に室長にスピーチをしてもらいました。その後ちょっと間があき、女生徒が前に出てきてスピーチをしました。「38分間〜大津波 命の記録」という番組を見て、絆という内容でした。その後、ポツポツと前に立って話します。「震災後、東北特産品の特売でボランティアをした」「自分の父、姉、兄を尊敬している」「人権作文を聞いて、自分の人権意識とレベルが違う」「何か自分にできることを考えてみたい」「普通とは何か。ゲイの悪口を言うべきではない」「人権に無関心が一番いけない」「大切な人への思いを再度確認」などなど。


 1時間が立った頃、ぴったっと前に出てスピーチをする生徒が止まりました。「困った」、これまでこんなことはありませんでした。残りは11人。このまま続行すべきか。順番を決めてスピーチさせようか。結局、この日は中断にしました。このままきっかけを失って、出てこないと、すでに発表した生徒がじれてしまい、せっかく自分の思いを話す場面なのに、雰囲気がまずくなるのを避けるためでした。


 本日はその続き、残りの生徒はすぐに出てきてくれ、無事終了しました。最後に、わたしがみんなの話を聞いての感想を。「思いは形にしないと伝わらない」ということを話しました。心の中で感謝していても、友だちにある思いをもっていても、震災について何かを考えていても、形や行動に示さないと相手には伝わらないということです。無事に全員スピーチを終えて安堵しました。生徒も級友の思いを聞くのは初めてだと思います。興味深くしっかりと聞いてくれました。中断して2回に渡った最後の人権学習、このクラスだからできました (^_^) 。


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