3時半まで − 貴志祐介『悪の教典』 −
朝から部活があるというのに、3時半まで本を読んでしまいました。読み進めていくごとに目が冴えてラストまで読んでしまったのです。
冬休みに入って、TUTAYAで文芸書のコーナーを見ていたところ、宝島社『このミステリーがすごい』というムック本が面陳*1されてディスプレイされていました。それで、ひとつ今年のミステリー1位をこの冬休みに読んでやろうとページをめくってみると、貴志祐介『悪の教典』が第1位でした。すると、このムックの横に『悪の教典』上下巻が同じくように面陳されていました。
うまい商売をしているなと思いながらも、この本を手にしました。「分厚い」各巻が4cmほどあります。ページをめくってみると、こんな書き出しでした。
混沌とした夢の中にいた。
どうやら、舞台を見ているようだ。役者は全員高校生だった。担任している二年四組の生徒たちであることがわかる。
学園ものです。これだったら分厚くとも読みやすいかなと上巻を買いました。一冊税込みで1800円でした。
文藝春秋『悪の教典』のホームページで紹介されている「物語ついて」の引用です。
生徒に絶大な人気を誇り、PTAや職員の間でも抜群に評判のいい教師が反社会性人格障害(サイコパス)だったとき、惨劇へのカウントダウンが始まった。
英語科教諭・蓮実聖司、32歳。
暴力生徒や問題父兄、淫行教師など、現代の学校が抱える病理に骨まで蝕まれた私立高校で、彼は何を行ったのか。
高いIQをもつ殺人鬼は、“モリタート”の旋律とともに犯行を重ねていく。
この本は大変読みやすく、分厚いですけれどもどんどん読めます。このようなことを「リーダビリティが高い」というそうです。昨夜は1時前に布団に入って読み始めました。場面は、蓮実が自分の行為が暴かれるのを恐れ、とんでもないことを決意するシーンでした。眠たくなるまでと思っていましたが、ますます目が冴えてくるのが分かりました。ということで、結局ラストまで読んでしまいました。
昨年11月の下旬より、クラス(高1です)で、私がこれまで読んだ本を少しずつ紹介しながら学級文庫をつくって入れているのですが、この本を入れるかどうかちょっと迷ってしまいます。この本はなかなか凝ったサスペンスなのですが、この本の中の学校と現実の学校との違いが何かこの本を居心地悪くしています。学校関係者としては、こんなことはありえへんやろという感じです。また、性の描写、過激な殺戮シーンも気になるところです。まあ、娯楽作品ですから、目くじらを立てることはないのですが。そんなことを考えていると、平成22年度の下半期の直木賞候補が本日発表され、『悪の教典』がノミネートされていました。まあ、うちの生徒ならば、マジで影響を受けるということはないでしょう。そんなことで、学校が始まったら学級文庫に入れてみたいと思います。大枚はたきましたしね。誰か読むかな。名簿にチェック! まてまて、これでは私が蓮実になってしまいます (^_^) 。
- 作者: 貴志祐介
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*1:雑誌や本を棚に立て、背ではなく表紙を見せて陳列する売り方