サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト「飛鳥時代の環境を探る」

 昨日から明日までは前期末の三者面談を行っています。したがって、生徒は家庭学習です。この機会に、2年生理型生物選択者を対象として、特別授業「飛鳥時代の環境を探る」を実施しました。こうした機会でないと、生徒を1日間拘束することはなかなかできません。


 本年度、本校は独立行政法人科学技術振興機構の事業(JST)であるサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)*1で、「飛鳥時代の環境を探る」が採択され、JSTより20万円の経費支援を受け、地元大学と連携することとなりました。この特別授業のねらいは、学校周辺の植生観察と飛鳥時代の水田の土壌中の花粉を分析することを通して、学校周辺の飛鳥時代の環境を考えるというものです。



 午前中は、保全生態学を専門としている大学教授の指導で、学校近くにある低山で植生観察を行いました。これは、午後からの花粉分析で植物の実物を知っておくことが大切であるからです。おもしろかったのは、各グループで20分間周囲の樹木の葉を採取させ、それらを種ごとに並べさせました。おおざっぱな方法ですが、多くの班で採取された植物は優占度が高いということになります。一班でのみ採取された種も多くあり、群落の多様性も分かってきます。ゲーム感覚もあり、直感的に群落の様子がつかめます。



 午後からは、学校の実験室へ戻りました。環境考古学を専門にしている大学教授の指導で、現代の水田土壌と飛鳥時代の水田土壌にある花粉を観察し、比較をしました。花粉分析の全工程をやるとなると3日ほどかかるので、染色して花粉を採取し、顕微鏡で観察するという内容で行いました。現代の水田ではスギなどが多く観察できるが、飛鳥時代の水田ではカシ類が多いという結論になります。生徒は花粉を見つけることができますが、花粉が割れていたり、資料の図とは角度が異なっていたりするので、同定となると難しい面がありました。


 「花粉という身近なもので、飛鳥時代の環境まで推定できる」 生徒には、学校で学習することが本物の学問につながっているということを分かってもらえたと思います。また、この機会に、フィールドでの観察の楽しさも覚えてほしいものです。生徒には、午前中利用した2000円あまりの樹木図鑑をプレゼントしました。大いに活用してください (^0^) 。


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*1: サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)は、文部科学省の「次代の科学技術を担う人材の裾野の拡大」施策の一環で,独立行政法人科学技術振興機構(JTS)が行ってる事業です。科学技術、理科、数学において,興味・関心と知的探究心等を育成し、進路意識を高めたりより多くの科学技術関係人材の形成したりすることが目的で、学校と大学・科学館などとの連携し、体験的・問題解決的な学習活動を行うための経費支援がなされます。