小出義雄「マラソンは毎日走っても完走できない」角川新書
今年になってから中長距離パートを専門に指導することになり,中長距離走関係の本をよく読んでいます。小出義雄「マラソンは毎日走っても完走できない」角川新書を読みました。小出さんは,有森裕子(バルセロナ銀,アトランタ銅)や高橋尚子(シドニー金)の指導で有名で,現在は佐倉アスリート倶楽部の代表です。
- 作者: 小出義雄
- 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: 新書
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走りの指導をして難しいのは,フォーム改善です。効率よいフォームはあるものの,選手をそのフォームに導こうとしてもなかなか改善は進みません。わたしは,欠点は指摘しますが、基本的にはその欠点を徹底的に直そうとは思いません(程度によりますが)。それはフォームの1部にこだわって改善しようとしても,走り全体のバランスが悪くなると考えるからです。それよりも、基本的なドリルを通して適切な動きに注意をはらわせたり、走り込んだりすることを通してフォームが改善されると考えます。少し前の講演会で、北海道ハイテクACの中村宏之氏も福島選手の腕振りについて、そのようなことを話されていました。小出氏もそのように考えています。
◯ウォーキングについて
練習のためにするウォーキングも,基本的な動作は同じ。難しく考える必要はありません。むしろ「腕の振り方はこう」「呼吸はこう」と注意点をいくつもあげられたら,動きがぎくしゃくするばかりです。◯ランニングについて
どれだけ意識してフォームを直そうとしても、疲れてくると自分が走りやすいフォームに戻ってしまうものです。でも、それが間違っているわけではありません。フォームというのは速くなればなるほど、理想的な形に変わっていくものですから。走っていくうちに無駄がそぎ落とされて、自然と自分にあったフォームが完成されていくのです。それに、ウォーキングの項でも触れたように、フォームの矯正は思っているほど簡単ではありません。
新入生に気になる走りをする生徒がいます。とても小柄な男子生徒なのですが、走りを観察すると、骨盤が前傾して腰の上下動が大きいのです。どうやら脚のバネを使ってストライド走法をしようとしているのです。ジョッグでも少しスピードが上がると、さらにストライドを伸ばそうとしているようです。本人に聞くと、「中学の先生からストライドを広げるようにと言われた」とのことでした。本人はストライドは大きくしようとするのですが、着地した直後に重心が脚にのらないので腰の位置は低くなるし、また腰の移動が遅れるのです。結果的に地面をしっかりととらえることができません。その生徒には「背筋を伸ばして、ピッチ走法で腰を前へ前へ進めなさい。無理にストライドを伸ばす必要はなく、小柄な体型を生かしてピッチで行けばいいんだよ」と話をしました。
これから3年間この生徒のフォームがどのように変わっていくか、しっかり観察をしていきます。
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