部の伝統とは


 昨日は卒業式でした。陸上競技部でも最後の集合がありました。在校生が感謝の言葉を述べた後、顧問が話をし、花束を贈呈しました。そして、卒業生代表によるあいさつ、顧問へのプレゼント贈呈がありました。


 わたしは一昨年にこの学校に赴任しましたから、卒業生とは2年生の春に出会いました。わたしが赴任するまでは、陸上競技を指導する教員が8年ほどいない状態が続いていました。ですから、生徒にとっては指導者とのつきあい方が分からない状況がありました。勤務校は歴史のある学校ですから、赴任したときからこの学校の陸上競技部の伝統とは何かといつも考えていました。生徒はわたしの指示を聞きながら、自分との間でうまく折り合いをつけながら練習メニューをこなしていたのだと思います。


 昨年の1月、練習が終わり、5名の男子部員がわたしのところへやってきました。「先生、3月の春合宿には行かないといけないのですか。うちの学校だけでやることは出来なのですか」と言うのです。これまでは、春合宿は単独で行っていたのです。学校で泊まり、近くの競技場へ出向いて練習をやっていました。「先輩から引き継いだ練習をしないといけないのです」と言葉を続けます。わたしは10校程度の学校が集まる合同合宿への参加を決めて、その日程を生徒に下ろしていたのでした。


 その場は春合宿の意義について話しました。各種目の専門の先生がコーチとなって教えてくれること。ほかの学校と切磋琢磨できること。甘えることなく合宿ができることなどなど。感情的になってはまずいと思い、極めて理路整然に話しをしました。その場は終わったものの、ひょっとしたら合宿への参加届けを出さないのではないかとも思いました。そんなことはありませんでしたが。合宿最終日のミーティングの席上、キャプテンが「この合宿に参加してよかった」と言いました。その言葉を聞いて正直ホッとしました。


 時代とともに練習方法が変わり、顧問の考え方によっても指導方針が変わり、学校の部活動へのスタンスによっても部活動の在り方は変わります。ですから伝統は「形式」ではないと思います。やはり俗な言葉ですが「魂」なのでしょうか。この場所で、ひたすらに陸上競技に打ち込んだ者によって生み出され、蓄積されるものなのでしょう。的確には表現することはできませんが (^_^) 。



 さて、今年の卒業生は8人と少数精鋭でした。人数の多い上の学年と下の学年に挟まれ、悪戦苦闘をしたときもありましたが、陸上競技部の長い歴史の中で確かにタスキを後輩へつないでくれました。本当にありがとう。人生の中でいざというときに、3年間の戦績に限らず、陸上競技を通して経験したことが必ず皆さんの後押しをしてくれることでしょう。これからの活躍を祈念します。頑張ってください。それから、プレゼントのステンレスボトルありがとう。試合や練習にもっていきますね (^_^) 。


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