分子模型とバネとを用いたエネルギー代謝の話



 2年生理型「生物II」では、代謝とエネルギー代謝を学習しています。先日、ヘプナー「ゆかいな生物学」をヒントに、エネルギー代謝について次のような授業をしました。


 ここに原子が2つあります。この2つの原子をリンクにバネをかぶせたものを用いて、それぞれの原子の穴にリンクを差し込みます。バネがあるので、すぐにスッポリ入りません。しかし、バネを十分に縮めて差し込むと結合させることができます。


 この結合をつくるのにわたしはエネルギーを放出したのでしょうか? そう、放出しましたね。わたしの指の筋肉からです。わたしがバネを縮めたときに。この結合をつくるのにわたしが使ったエネルギーはすべて放出されたのでしょうか? いいえ、この縮んだバネに与えたのですが、そのエネルギーは今どこにあるのでしょうか? バネが何かをしているのでしょうか。飛び回ったり、闇の中で光っているのでしょうか。違いますね。このエネルギーは縮められたバネの中に蓄えられ、エネルギーを放出する機会をうかがっているのです。これは化学結合で起きていることと大変よく似ています。結合をつくるためにはエネルギーが与えられますが、そのエネルギーの一部は何らかの方法で放出されるまでじっと結合の中に蓄えられているのです。



 このバネで何かをやってみたい。例えば、白い原子を飛ばしたい。ではどうやって飛ばせばよいのでしょうか。バネが伸びるためにはエネルギーを消費しなければなりません。結合にも同じ事がいえます。結合を切るには「活性化エネルギー」を与えてやらなければならないのです。赤い原子をしっかり持って、少しだけ力を加えて結合を緩めてやれば、白い原子が勢いよく飛び出て床に転がりました。ばねに蓄えられた弾性エネルギーが、運動エネルギーに変わったのです。


 光合成は、光エネルギーがグルコースなどの有機物に中に化学エネルギーとして変換されるはたらきです。また、呼吸は、グルコースなどが分解され、ATPの化学エネルギーに変換されるはたらきです。生物は、更にこのエネルギーを運動エネルギー、光エネルギー、電気エネルギー、熱エネルギーなどに変換するのです。


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