堀川高校教育研究大会

ビック・ボックス



 京都市立堀川高等学校の教育研究大会へ行ってきました。わたしの勤務校は文部科学省の学力向上拠点形成事業を受けており、堀川高校の充実した取組を参考にするためにです。堀川高校は地下鉄四条駅から歩いて7、8分程度の交通の便がよいところにありました。平成11年につくられた5階建ての都市型新校舎はビッグ・ボックスと呼ばれ、生徒の学習を支援する設備が整えられています。


 研究大会主題は、「これからの高等学校教育に求められるもの −培ったものを活かして−」です。午前は研究授業と探究基礎の説明会、午後は分科会で、研究授業は「物理研究I」、分科会は「進路」に参加しました。


 特に参考になったのは午後の進路の分科会でした。進路部長さんから90分程度の発表がありました。進路実現には「見える力」「見えない力」の両方をバランスよく育成することが大切であり、「見えない力」の育成には、堀川高校の目玉である学校設定科目「探究基礎」が大きな役割を担っていることを力説しておられました。ちなみに、「見えない力」とは意欲、好奇心、集中力、持続力、学習への姿勢です。なるほど!


 また、受験では「もっと勉強がしたいという気持ち」が大切であるそうです。アンケートから、難関大学合格者の多くは「もっと勉強がしたいから」という理由で大学進学を考えています。そこで、学習状況調査もきめ細かく行っています。例えば日ごろの学習の姿勢について、「学校から与えられた課題や教材をうまく活用している」「人に負けたくない」など11のカテゴリーに5段階で答えさせています。これを進路指導部や担任で分析し、個人面談などで活用し、「もっと勉強がしたい」という気持ちに向かわせるように仕向けます。そのほか、学習に取り組む気持ちや塾に関する考えなどもたずねています。


 そして、進路検討会。1学年6クラスの全員の生徒について、1、2生では類型選択が適切であるかなど、3年生では志望校が適切であるかなどが検討されます。1年次は年1回、2年次は2回、3年次は3回開かれます。全担任、全教科担当、進路指導部でB4裏表で4名分の資料をつくり検討していきます。1クラスの検討には2時間はかかります。丁寧な進路指導には頭が下がります。


 後半は、発表を受けてわたしたちが提出した質問票に基づいて、丁寧に回答をしていただきました。わたしは、進路部長さんの次のような言葉に惹かれました。

 これまで生徒に自分の可能性を気付かせるため、わたしは生徒のスイッチを押してきた。しかし、それが間違いであることに最近気が付いた。可能性は生徒自身が知り、自分自身でそのスイッチを押すことができる生徒の育成こそが大切なのだ。


 そのための仕掛けを工夫したり、生徒を信じて待つことも大切なのでしょうね。今日は堀川高校のブレない学習指導、進路指導について学ぶことができ、大変勉強になりました。


 

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