藤野良孝『スポーツオノマトペ』を読みました。


スポーツオノマトペ―なぜ一流選手(トップアスリート)は「声」を出すのか

スポーツオノマトペ―なぜ一流選手(トップアスリート)は「声」を出すのか


 この本の帯には、このように書いてあります。

 室伏広治の「ンガッアァァァー!」、愛ちゃんの「サー!サー!サー!」、このようにスポーツ時に発する声がスポーツオノマトペです。スポーツオノマトペには
 ○一流選手の試合を観戦していて楽しくなる
 ○声を出すことで自分のプレーが上達する
 ○声を出すことでスポーツが楽しくなる
 ○ダイエットにも効果が見込める
 ○こどもたちにスポーツのコツを指導しやすくなる
 などのメリットがあります。


 本書ではスポーツオノマトペと短期記憶・長期記憶の関係についも言及されていますが、ちょっと違うような気がします。例えば、陸上競技の200mの走り方を指導するとき、わたしならばそのイメージをスポーツオノマトペで説明すると「ポン・スー・ギリギリギリスッポーン・スー・グー」と表現します。「ポン・スー」では、力まずにスタートを切り、力まずにコーナーを回るという意味(感覚)です。「ギリギリギリスッポーン」とは、ワインのコルク栓を抜くように、コーナーで失速することなく力をためて、ホームストレッチへ走り出るという意味です。「スー・グー」とは、リラクゼーションを効かせて中間疾走し、ラストはピッチを落とさずに走りきるという意味です。


 このように「ポン・スー・ギリギリギリスッポーン・スー・グー」には、様々な情報が含まれています。スポーツオノマトペを使うことによって、各情報をチャンク化することができます。チャンク化とは、多くの情報をチャンク(塊)としてまとめることを言います。このように、スポーツオノマトペを利用すると多くのことをまとめて伝えることができます。当然、それぞれのスポーツオノマトペの意味(感覚)を知らなければ動きへ活用できませんが。


 本書では、スポーツオノマトペは強いインパクトがあるから長期記憶されるというように書いてあります。しかし本質はスポーツオノマトペ自身は記憶する情報は少なくてすみますが、これらと結び付く多くの情報が脳内にあり、それらと結び付くことによって選手が感覚的にその動きを会得しやすくなることでしょうか。いずれにしても、スポーツオノマトペはスポーツ指導に欠かすことができません。


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