メンデル「雑種植物の研究」

ote2008-02-19



 1年生「生物I」の学年末考査の範囲は、メンデルの「二遺伝子雑種」までとなりました。本当は「いろいろな様式の遺伝」までいきたかったのですが、タイムアウトです。


 手元にメンデル『雑種植物の研究』岩波文庫があります。小泉丹訳です。昭和3年出版、岩波文庫の初版本です。今から15年ほど前に古本屋で買ったのでしょうか。この本はもちろん今や絶版となっています。出版当時は二十銭の価格でした。さぞかし今は価値が上がっているだろうとインターネットで調べてみると、900円で古本屋で売られていました (x_x) 。復刻版が岩槻邦男さんと須原凖平さんの訳でやはり岩波文庫から出ています。遺伝の授業の冒頭で本を生徒に回しました。古さもあって、みんな興味津々で見ていましたよ。

雑種植物の研究 (岩波文庫)

雑種植物の研究 (岩波文庫)

 

 日本でいち早くメンデルの法則に接したのは、東京帝国大学の外山亀太郎(1867〜1918)です。外山はメンデルの法則が再発見された1900年に、カイコの遺伝を研究しており、日本産の白まゆ種とフランス産の黄まゆ種を交雑し、雑種第一代として黄まゆ、雑種第二代として黄まゆと白まゆが3:1に分離することを見つけています。このことは、中沢信午『メンデルの発見』共立出版(右本)に書かれています。この本は、山形大学の理学部教授であった中沢氏が、1972年と1976年の二回にわたってメンデルの足跡をたずねて様々な資料を検討してメンデルがその法則を発見するにいたった経緯や発見以後の展開について書いています。


 山下孝介『メンデリズムの基礎』裳華房(左本)は、昭和47年に当時の知識に上に立って、メンデルがその思想をどのように展開して不動のものにしたかを知ることに意義を見いだし、「植物雑種の研究」を再訳したものです。


 冒頭の文章を小泉丹、山下孝介、岩槻邦男・須原準平のそれぞれの訳で比較してみましょう。

小泉丹訳(昭和3年)
 觀賞植物の種類で、新しい「色變り」を作る為めに、人工的に交配が行われるが、玆に報告せんとする研究は、其から思ひついて行ったものである。


山下孝介訳(昭和47年)
 観賞植物で、新しい色彩変種を創るために行われた人為交配が、ここに述べようとする実験の動機であった。


岩槻邦男・須原準平訳(平成10年)
 観賞植物で新しい色変わり種をつくることを目的として行われる人工授精が、これから述べる実験のきっかけとなった。

 いずれももう一度読み返したいのですが、ほかにも読みたい本があってパラパラながめているだけです ☆/(x_x) 。


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