日本人の足を速くする

日本人の足を速くする (新潮新書)

　　　

　為末大は、日本を代表する４００ｍハードラーです。０１年のエドモントン、０５年のヘルシンキの世界陸上で２回連続して銅メダルを獲得しています。わたしは、彼が広島の皆実高校時代、広島県の真っ赤なユニホームで国体で４００ｍハードルに出場し、高校記録を出した姿が印象的です。

　この本の内容は、次のようなものでした。

1. 日本人とアフリカンとの骨格や筋肉の付き方の違いを理解し、日本人に合ったトレーニングをすることによって十分世界と戦うことができる。
2. ハイリスク・ハイリターンで自分を追い込みながら勝つ環境をつくる。
3. ４００ｍハードルの極意と、試合で最高のパフォーマンスにもっていく考え方
4. 日本人の足を速くする。

　為末大が、自分の経験に基づいて、走りや競技者としての姿勢、試合へ臨む姿勢などをかきつづったものです。とても読みやすいものとなっています。しかし、だれを対象としてこの本が書かれたのかが気になります。一般の人には、足を速くするための理論は少し分かりにくいですし、トレーニングやレースをする感覚が分からなければ、為末大の４００ｍハードルへのイメージがわきません。また、陸上競技に取り組んでいる者にとっては、もう少し専門的に走りについて説明して欲しいと思ったりします。陸上競技をしている高校生が読むにはちょうどよい内容ではないかと思いました。

　わたしは、一流選手の日々の競技に対する考えや、試合に向けての準備についておもしろく読ませてもらいました。

　５月２７日、「東京ストリート陸上」が、丸の内仲通りで行われます。これは、一般の人に陸上競技のすごさ、楽しさを身近なところで体感してもらうために、東京都心の丸の内仲通りに５０ｍの特設コースをつくり、為末大選手、朝原選手などのトップアスリートが走りを披露するものです。為末選手がプロデュースをしています。次の動画は、為末大選手からのメッセージです。

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