地図には「はてな」がいっぱい 

ote2006-02-05



 NHKでは,「わくわく授業−わたしの教え方−」という番組を,毎週日曜日の午前7:40〜8:05にやっています。見よう見ようと思いいながらも忘れてしまうのですが。年末?年始?に,有田和正さんの同じ授業が2回再放送されていました。


 有田和正さんといえば,小学校社会科の世界では神様みたいな方であり,その著作も広く知られています。「地図には『はてな』がいっぱい」大変興味深く拝見しました。


 地図を初めて学習する小学4年生が授業を受けます。有田先生が言います。「(今日は)地図の何を(学習を)やるかな,最後に題をいってもらいます」 なるほど,子どもが何について学習しているか,行っている学習に対して積極的にモニタリングできるように働きかけています。


 子どもたちはつぎつぎに地図の秘密を見つけていきます。都道府県名は赤色で,市は黒色で書かれてある。赤の三重まる,二重まるで人口が分かる。最後に,有田先生は今日の学習の題を子どもに聞きます。「地図のみかたです」。


 有田先生は,子どもをユーモアや励ましで授業にのせたり,大げさなパフォーマンスで授業を盛り上げます。しかし,22歳のときに,子どもに言われました。「先生は性格が暗いから子どもに嫌われるよ」 それから,有田先生は性格を変える勉強,ユーモアの勉強をしたそうです。また,40代のときには,「先生の授業はおもしろくない」と言われ,登校拒否状態になりました(本人曰くですが)。


 このようなことから,有田先生は,子どもから学び,笑顔の大切にし,子どもをほめ,子どもに寄り添い,子どもたちが進んで学習する教材づくりに励むようになったそうです。新聞の切り抜きを毎日欠かさず,40年間で800の教材をつくりました。


 「AさせたいならばBせよ」。静岡県の子どもに地元でミカンづくりがさかんである分けを学習をさせる前に,山梨県のブドウについて学習させます。より深い学習を目指すためには,ある場面の知識・理解を,他の場面で使うことができるようにするのですね。学習心理学ではこのことを「転移」といいますが,このような場面を積極的につくっていくことで,子どもの学習の理解が深まります。その後,ミカン畑を訪問した子どもたちは,農家のおじさんにいっぱいの「はてな」をぶつけていきます。


 大先生に,暗い過去があったなんて,想像だにしませんでした。有田先生から学べる点は二つありました。一つは,いろいろな意味で,子どもの反応を確かめながらそれをフィードバックして授業づくりをすること*1。もう一つは,子どもに本物の力を付けるために,単に知識を付けさせる方法を一歩進めて工夫をすることです。
 

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*1:具体的には,子どもからの授業評価が大切だと思います。子どもの視点を生かした授業づくりが必要です。ただし,子どもに迎合してはいけません。