校長の説明責任 

 

 大阪府高槻市の府立槻(つき)の木高校は、新入生は240人のうち、入試成績の上位60人を3学級だけに割り振り、残る180人を、1学級40人になるよう編成した。成績上位者だけでつくる編成も考えたが、「露骨すぎる」と避けたという。このことは、一部の管理職だけで決めて秘密にしていた。
 5月の中間試験は総得点の平均が、上位の生徒を集めた学級とそうでない学級とで10点近くの差が出た。担任教諭の間から不審の声が上がり、ようやく教頭らが謝罪したうえで説明した。だが、「生徒を動揺させるのはまずい」と口外しないことを申し合わせたという。
 11月下旬、府教委高等学校課の担当者が同校を訪れ、公表するよう指導した。「生徒や保護者への説明責任を果たしていない」との理由からだ。同校は11月末、1年生には口頭で、保護者には文書で「あえて均等化を図らずに、学力層の差異を利用して相乗作用による学習効果を期待する方法にしました」と説明した。しかし、具体的に成績上位者を集中させた編成法については明らかにしなかった。
 松本校長は「これまでの公立校は成績を上げようと中位、下位の生徒の指導に力を入れがちだった。その結果、上位の生徒が物足りなく感じて学習塾に通い、保護者に経済的な負担を強いていた。これではいけないと思ってしたことで悪いとは思わないし、詳細を言う考えもない」と語る。しかし、こう付け加えた。「確かに最初から説明すべきだった」
 asahi.com12月24日付けより


 公立高校での1年生の学級編成は、教務部で、芸術科目の選択を考慮しながら、どのクラスも成績が均衡するように編成します。その後で、同姓の生徒が同一クラスにならないように、学校によっては、同一出身校の生徒が極端に集中しないようにします。その際には、成績のほぼ同程度の生徒と入れ替えをしていきます。


 この学校では、入学成績上位者の含まれる学級とそうでない学級で、授業のレベルを違えていたのでしょうか。入学試験の上位者の含まれる学級にも、上位者ではない生徒がいるのですから、授業のレベルを上げたり、進度を違えるわけにはいかないでしょう。また、校長先生の言っていることは詭弁のような気がします。


 このクラス編成は、一部の管理職での秘密とありますが、管理職は、校長と教頭しかいませんから、校内の主な役職から構成される運営委員や教務部の一部は知っていたのでしょう。しかし、このことは、大阪府教育委員会が指導しているように、管理職が保護者に対して説明責任を果たしていないばかりか、教職員に対する背任行為であると思います。


 教職員に事実が明らかになった段階で、「生徒を動揺させるのはまずい」と口外しないことを申し合わせたこと自体も、校長先生が、「(このクラス編成が)悪いとは思わない」ということと矛盾をしています。


 これらの情報は、asahi.comの教育からのものであるので、これらの情報が100%正しいとは思いません。しかし、この学校が、府立高校として、これからどのように生徒・保護者・府民に説明責任を果たしていくのかが問われると思います。功を焦り、様々な段階でコンセンサスを図る努力を惜しめば、たとえ高邁な目標をもっていたとしても達成できないでしょう。


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