文部科学省「読解力プログラム(たたき台)」 

ote2005-12-16



 文部科学省では、「読解力プログラム」の策定を行っており、11月16日に開かれた「全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議」の配布資料として、「読解力プログラム(たたき台)」が示されました。このプログラムを作成することになったのは、平成15年7月に行われた、15歳の生徒を対象としたOECDのPISA調査の「読解力」が、国際水準の平均にまで低下したことにあります。


 従来の国語教育の読解は、文学的な文章の詳細な読解を中心としたものであり、PISA調査の読解とは意味するものが大きく異なっています。文学的文章や説明的文章(連続テキスト)だけではなく、図、グラフ、表(非連続型テキスト)の読解力が問われています。このプログラムでは、従来の「読解力」とは区別するために、PISA型「読解力」という概念で提示しています。
 また、文部科学省は、このPISA型「読解力」が、現行学習指導要領の「生きる力」「確かな学力」と同じ方向であることを明言しています。


 PISA型「読解力」とは、次のように定義され、3つの観点があります。

<定義>


 自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力。


<3つの観点>

  1. 情報の取り出し:テキストに書かれている情報の取り出し
  2. 解   釈   :書かれた情報がどのような意味を持つかの理解や推論
  3. 熟考・評価  :テキストに書かれていることと知識・考え方、経験等との結び付け

 PISA調査では、日本の子どもたちは、これらの観点の「解釈」「熟考・評価」に課題をもち、とりわけ「自由記述(論述)」の問題を苦手としています。


 それらの改善の手立てとして、次の3つの重点目標があげられています。

  1. テキストを理解・評価しながら読む力を高める取組の充実
  2. テキストに基づいて自分の考えを書く力を高める取組の充実
  3. 様々な文章や資料を読む機会や、自分の意見を述べたり書いたりする機会の充実


 学習指導要領の見直しでは、いずれの教科においてもPISA型「読解力」がクローズアップされていくと思います。3つの観点を明確にして指導をすると、より学習が深まると思いますし、先生方の学習指導の工夫も広がると思います。

 
 わたしの専門の理科におけるPISA型「読解力」とはどのようなものであるかは、文部科学省からは明確には示されていません。いろいろな意味の取り方や考え方があると思うので、大いに議論がなされればよいと思います。機会があれば、わたしの考える「理科における読解力」について書きたいと思います。
 

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