初めての高校生の不登校状況の公表

文部科学省



 おそらく22日に、文部科学省から「平成16年度の生徒指導上の諸問題の現状について」の発表があったと思われます(文部科学省の報道発表にはありませんが)。新聞では、小学校における暴力行為の発生件数が2年連続して増加したことを取り上げています。そのような中、NHKでは、初めて高校生を対象とした不登校の状況について報道していました。

 初めて高校生を対象に調査を行った理由は、「ニート」が年々増え、その背景にいじめや不登校など学校でのつまづきがあると指摘されているからです。要点は次の通りです。

  1. 30日以上欠席した不登校の生徒は6万7500人で、高校生全体に占める割合は1.82%、55人に1人が不登校である。
  2. 不登校の理由は、何となく登校しないなどの「無気力」が25%、次いで、不安を感じるなどの「情緒的混乱」が22%、遊ぶためや非行グループに入ったりして不登校が続くケースが12%である。
  3. 不登校のうち20%にあたる1万4000人余りは、中学校を30日間以上休んだ経験がある。
  4. 不登校の状態から中退した生徒は2万5000人で、中退者の37%を占め、不登校から中退につながるケースが少なくない。

 文部科学省では、小中学校段階とともに大きな教育課題として認識し、来年度から高校にもスクールカウンセラーを配置し、生徒の心のケアにあたる環境を整える方針。


 不登校の理由が「無気力」や「遊び」であるならば、魅力ある学校づくりという点で、克服できます。分かる授業づくりやキャリア教育などの充実です。例えば、東京都のエンカレッジスクール*1などの取組です。


 わたしが勤務していた高校でも、やはり各クラスに1人の不登校生徒や不登校傾向の生徒がいました。わたしが担任したクラスには、友達関係がこわれたことがきっかけとなり、自分の居場所がないことを理由に学校に来なくなった生徒がいました。学習が遅れていくこともあって、保健室登校まで漕ぎつけましたが、結局は、進級した後に単位制高校へ転学しました。


 心の問題が登校への障害となっている場合、本人の気持ちを登校へもっていくことは容易ではありません。スクールカウンセラーの派遣についても、校内組織の中に位置付けていく難しさがあります。一番良いのは、校内の教職員としてカウンセラーが配置されること、教員の不登校生徒の支援に時間が割けるゆとりではないでしょうか。


 現状では、担任は、関係部署と相談をしながらというものの、全権を背負うような心持ちで、不登校生徒やその保護者との対応にせまられます。また、教科担当も、保健室登校生徒への学習指導を行うことになります。しかし、この学習指導は毎日、毎週とはいかず、イレギュラー的に短時間で指導しなければならないので、相当ストレスを感じます。さらに、自分自身でその生徒の学習状況を評価することになります。


 学校は、どうしても登校している生徒への対応が中心となります。不登校生徒への対策を講じるならば、学校を含めた様々な関係機関で、もっと抜本的な取組が必要だと思います。


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*1:力を発揮しきれずにいる生徒を受け入れ、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けさせるため、基礎学習を中心に体験学習や選択授業を大幅に取り入れることを特徴とする高校。秋留台高等学校など