子どもの命を守る


 NHKスペシャル「学校再建〜付属池田小・教師たちの4年〜」を見ました。

 4年前の6月8日、大阪教育大学付属池田小学校で非道極まる一人の男によって、1年生1人、2年生7人の幼い命が奪われました。学校は安全であるという当たり前なことである根幹を揺るがすことになりました。なぜ子どもたちの命を守れなかったか、事件で傷ついた子どもたちの心にいかに向き合っていくのか、悩みながら子どもとともに前進していこうとする教師たちを記録した番組です。


 番組は、教職員の不審者対応訓練から始まりました。職員が扮した不審者を確認すると、職員が非常ベルを押します。非常ベルの発信源へ職員が駆けつけ、不審者を取り押さえにかかります。また、校内の各点から入ってくる情報を、職員室のホワイトボードに書き出しながら指示を出し、負傷児童の救助を行います。まさに本番さながらの訓練です。年6回実施するそうです。


 当時6年生の担任で、2人の児童と病院へ向かい、保護者への連絡に苦慮した教員は訓練で不審者を買って出ていました。当時、大学院で研修をしていた教員は、急きょ2年生の担任になり、子どものフラッシュバックなどに戸惑いました。犯人にすぐに立ち向かえなかった2年担当教員は、そのまま2年生の担任として子どもたちと向かい合いました。
 4年後の今、「祈りと誓いの集い」で、6年生の子どもたちに亡くなった8人に贈る言葉を考えさせる教員がいます。


 学校で子どもの安全にかかわる事件や事故が起こります。よく起こるものでは、体育の時間の事故などでしょう。よく起こるものは職員の誰もがその対処を知っています。しかし、あまり起こらない事件や事故の場合はその対処方法が曖昧になっていないでしょうか。


 学校のそれぞれの部署で、危機の大小にかかわらず、安全に関わる危機管理マニュアルを作成し、シミュレーションを行う必要があります。マニュアルばかりつくってどうするんだという方もいらしゃいます。しかし、マニュアルを作成することを通して、事件・事故を未然に防ぐことができるのはないでしょうか。シミュレーションをすることもしかりです。


 今から20年程前、わたしは大阪教育大学付属池田小学校で、1か月間の教育実習を行いました。事件の時に子どもたちが集合した運動場では、大阪城築城400年を記念した組み立て体操をしました。クラス対抗リレーでは、わたしが担当した5年東組が優勝しました。事件の当日、運動場に集合している子どもたちを見て、大きな衝撃を受けました。教員にとって、子どもの命を守るということは、何にもまして大切なことだと思います。


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