バクテリア遺伝子組換えキット
先日、遺伝子組換え実験を行いました。といっても、高等学校でもできるバイオ・ラッド社のキットを用いた実験です。
今回用いた「バクテリア遺伝子組換えキット」では、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子をもつプラスミド*1を大腸菌に入れ、その遺伝子を働かせ、大腸菌を光らせました。このプラスミドは、pGLOプラスミドと呼ばれています。
pGLOプラスミドに存在するGFP遺伝子は、アラビノースという糖があるときのみ、そのアラビノースがaraC遺伝子がつくるタンパク質に結合し、それがきっかけでスイッチがオンとなりGFP遺伝子が働き、光るタンパク質(GFP)がつくられます。
また、このプラスミドにはbla遺伝子*2があり、この遺伝子をもつ大腸菌は、抗生物質であるアンピシリンの働きを止めるラクタマーゼという物質をつくるため、培地にアンピシリンが存在していても生育することができます。
4つのパターンの培地と大腸菌の組合せをつくりました。
① 普通の培地にプラスミドを入れない大腸菌を塗ったもの
② 抗生物質であるアンピシリンを加えた培地にプラスミドを入れた大腸菌を塗ったもの
③ アンピシリンを加えた培地にプラスミドを入れた大腸菌を塗ったもの
④ アンピシリンとアラビノースを加えた培地にプラスミドを入れた大腸菌を塗ったもの
画像は、それぞれを24時間37℃で保温し、紫外線を照射したものです。
大腸菌が生育しているのは、①、③、④。大腸菌が光っているのは④です。
このキットは、海外では「pGLO Bacterial Transformation Kit」、すなわち、「pGLOバクテリア形質転換キット」という名称で売られていますが、日本では「バクテリア遺伝子組換えキット」という名称で売られています。実際には遺伝子組換えを行っていないのに、この名称はいかがなものでしょうか。おそらく、「形質転換」よりも「遺伝子組換え」のほうが、通りがよいからでしょうが、学術的には問題があると思います。
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