教員の高齢化


 

 全国の小中高校教員の平均年齢が、いずれも77年度の調査開始以来最高を更新したことが、文部科学省の「04年度学校教員統計調査(中間報告)」で分かった。調査は3年ごとで、今回は昨年10月1日現在で全国の国公私立の全教員を対象に行われた。それによると、小学校教員の平均年齢は44.1歳、中学校は42.9歳、高校は44.3歳だった。一方で20歳代の若手の割合は小中高を通じて1割未満となり、高齢化が止まらない実態が明らかになった。
                7月29日付 毎日新聞より要約


 学校に若手が少なくなって、随分立ちます。今から18年前、わたしが28歳で転勤した学校では、職員室の半分の教師が20歳代、教師の約2/3の教師が未婚でした。


 ところが今、どうでしょうか。高等学校でも20歳代の教員がいない学校があります。わたしの娘の小学校でも、20歳代の男性の教員が1人、つぎに若い男性の教員は、何と40歳代までとんでしまいます。この15年あまり、主に少子化のあおりを受け、教員の採用数が減少を続けてきました。これにより、年齢構成にアンバランスが生じ、様々な問題が出てきています。


 まず、学校に清新な空気が流れないということです。学校には、新人、中堅、ベテランなど、様々な教師がいるからこそ協調して生徒の指導に当たれます。特に、学校行事がそうではないでしょうか。やっぱり、若い担任の教師には勢いが感じらます。それぞれが経験年数を踏まえた持ち場で役割を果たすことが大切です。


 二つめは、教科等の研修会の参加者が減少していることです。なぜか、中堅以上の教師が多いにもかかわらず、学校が多忙だいうことで、研修会へ足を運ぶ教師が減ってきました。様々な教科などの研修会では、参加者には若手がおらず、いつも同じ顔ぶれで、マンネリ化を起こしている現状もあります。

 
 三つ目は、特に、体育系の部活動を指導する教師が減ってきたことです。これによって、中学校では、専門の教師がいないことから部活動を閉鎖したところもあります。また、試合にいっても、審判員の人数確保が問題になっています。審判の持ち場によっては、若手でなければ務まらない場面もあります。


 四つ目は、若手はいつまでたっても若手であることです。30歳代中頃の教師は、教師として採用されたときから10年以上も若手として頑張ってきました。いつまでたっても若手というのも辛いところがあります。また、同世代の話し相手がいないという悩みも聞いたことがあります。わたしたちの若い頃は、若者同士で遊びに頻繁に行っていました。


 五つ目は、若手とそれ以外の教師の層が二極化して、授業や校務にかかわって、断絶ができています。先輩教師の培ってきたものを、後輩教師に伝える、いわゆる教師文化の伝承についても、支障が生じます。後輩の教師がいないことから、せっかくのノウハウが伝わらない状況があります。


 六つ目には、児童生徒の立場に立つと、小学校では共に学び遊んでくれる教師が必要でしょうし、中・高等学校では、生徒が、年齢の近い教師と共に過ごす場面も必要でしょう。多感な生徒たちです。教師の若さに相談もしたいでしょう。


 さて、時代は、団塊の世代の退職が進み、新規採用大量時代に入ろうとしています。採用をめぐって、都道府県の仁義なき採用も話題になっています。文部科学省の予測によれば、平成30年までに早期退職の増加も加味して考えると、向こう12年間で約5割以上の教員が入れ替わるといいます。


 ここで問題となるのは、教師の質の低下です。少子化によって、教員養成系の大学の入試のハードルも低く現状です。それに加えての大量採用。また、大量採用時代に合わせて、あらたに教員養成の課程をつくったり、定員の枠を増やす動きもあります。


 「教育は国家百年の大計」、国家として教育にいかに取り組むか、現在議論になっていることも含めて、もっともっと大きな視野で考えてもらいたいものです。



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