ピアジェの保存課題
- 作者: 三田紀房
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/22
- メディア: コミック
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ドラゴン桜第9巻が発売されました。82時限では、主人公桜木が、矢島の小学校お受験の失敗について、矢島の父母に語ります。
まだ直感的思考段階に子供にどれだけ論理的思考を教えようとしても無理です。なのにお受験の問題が解けないのを叱ったりしたら......。逆上がりしかできない子供に大車輪の練習をさせて、できないと叱るようなもの。
子供がどのような時期にいるのかを見誤って無理矢理塾に通わせて問題を解けるようにしたら、子供の脳は混乱し、逆に発育が阻害されかねない。
ここでは、主人公桜木が、「有名な心理学者」の心理学実験として、ピアジェ*1の保存課題を、矢島の父母に解説しています。
- 課題1
同形同大のコップ①と②に、それぞれ同じだけの液体を入れたものを子どもに見せ、「どちらのコップにたくさんの液体が入っていますか。それとも同じですか」とたずねます。次に、②の液体を、③の細くて背の高いコップに移し、さっきと同様に「①と③のどちらのコップにたくさんの液体が入っていますか。それとも同じですか」と子どもにたずねます。
- 課題2
①と②のように、色の異なる2種類のおはじきを、6個ずつ等間隔に並べる。子どもに、「①と②では、どちらのおはじきの方がおはじきの数が多いですか。それとも同じですか」とたずねます。次に、②を③のように間隔をを長くて並べ直し、さっきと同様に「①と③では、どちらのおはじきの方がおはじきの数が多いですか。それとも同じですか」子どもにたずねます。
ピアジェはこの課題の結果から、7歳以降の具体的操作期に相当する子どもでは、液体の量やおはじきの数に変化がなく、それ以前の直感的操作期の子どもは、課題1では③の液体の量が、課題2では③のおはじきの数が多くなったと考えます。つまり、直感的思考段階の子どもには、変形操作後*2も数や量は同じであるという保存の認識がなされないのです。
さあ、あなたは、この結果についてどう思われますか。
シーガル(1991)は、「不確かな場合は反応を変更する」と、ピアジェの保存課題の結果について批判しています。一般的な会話では、ふつう同じ質問は二度受けません。これらの課題では、二度にわたって「どちらが多いですか、それとも....」とたずねられます。誤った回答をした子どもの中には、最初の答えと別の答えをすべきではないかと、「③が多い」と判断してしまうのです。
ピアジェのことを、主人公の桜木に、名前を出さずに、「ある有名な心理学者」と言わせていますが、何ででしょう。「有名な心理学者であるピアジェ」といっても良さそうなのに (^_^) 。
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