総合的な学習の時間に対する小学校と中学校の考え方の違いを見て


 文部科学省は、中央教育審議会で行われている義務教育改革審議の検討資料とするため、全国の小・中学生、保護者、小・中学校教員、小・中学校評議員都道府県及び市区町村の教育長と首長を対象に、義務教育に関する評価と期待や、子どもの家庭での生活状況等に関する質問紙調査を行いました。


 注目は、やはり総合的な学習の時間(以下、総合学習)です。新聞の見出しでは、「中学担任55%否定的」朝日、「教員8割負担大きい」産経、「中学担任57%廃止を」毎日、となっています。


   


 図1-2-9は、総合学習についての、小学校・中学校担任の意見です。一番気になるのは、「なくした方がよい」での小学校と中学校の格差です。これをどう読み取ればよいでしょうか。


   


 小学校も中学校も、別の設問で、「総合学習は教員の負担が大きい」と答えている割合は、ともに8割で同じです。ですから、教員の負担感には小学校と中学校の違いはありません。児童生徒の変化をどう見ているかという設問では、図1-2-6のように小学校と中学校では大きな違いが見られます。


 中学校で総合学習を行う一番の難しさは、課題設定にあると思います。小学校と同じ地域にあるのですから、小学校での取組とかけ離れたことはできません。スパイラル形式で、小学校の内容を深化させることが望まれます。教材研究も小学校より高度になってくるでしょう。


 そうなると、組織力がものをいいます。小学校の場合は、担任がすべての教科を教えることになりますから、自ずから教員が協働する風土があります。中学校では、教科担任制ですから、協働する風土は小学校よりも弱いと思います。


 また、わたしは高等学校でしたが、総合学習実施の前々年からその立ち上げに関わり、わたしが提案することは、職員会議で特に意見が出されることなくすんなりと決まっていきました。立案にあたってアンケートをお願いするのですが、回収率は良いとはいえませんでした。


 子どもたちは総合学習を行いますが、その際、問題把握を十分に行わなければ、その後の探究活動がうまくいきません。それと同じことが教員の場合にもいえるのではないでしょうか。総合学習の導入時に総合学習とどう向かい合ったのか。課題とどう向かい合ったのか。総合学習を通して、子どもとどう向かい合ったのか。


 中学校のおかれている現状には、複雑なものあります。しかし、そのために、子どもたちの学習が十分になされないのでは困ります。
 組織のハードやソフトの問題としたならば、総合学習を成立させるキーマンは、管理職の先生ではないでしょうか。


 なお、総合学習については、6月13日の日記にも書いたばかりです。そちらの方もご覧ください。