コバノミツバツツジ
4月上旬、まだ林の木々が新葉を展開させようとしているとき、林の中に淡紫色の花を見ることができます。コバノミツバツツジです。以前、車で通勤していた頃には、丘陵の中を走る道路沿いでよく見かけました。
コバノミツバツツジは、比較的明るいアカマツ・コナラ林に生育する2、3mの高さの落葉低木で、本州の中部以西、四国、九州に広く分布しています。葉は、枝の先に3枚の葉が輪生(枝の1か所から3枚以上の葉が輪を描くようにつくこと)しています。花は、葉が出ないうちに開き、1本のめしべの回りに10本のおしべがあります。また、花粉は細い糸でつながっていて、蜜を吸いに来た昆虫の体に付着しやすい構造となっています。花を採って付け根をなめると、ほのかに甘さが感じられます。
漢字を使ってコバノミツバツツジを書くと、「小葉の三葉躑躅」となります(難しい字ですね)。ミツバツツジにも、地域によっていくつかの種類がありますが、その中でも葉の大きさが小さいということでしょうか。また、ツツジ類では最初に花を咲かせることから、「一番躑躅」ともいわれます。わたしにとっては、春の訪れを感じさせる植物ですが、俳句の季語では、晩春の季語となっています。
咲き誇っているサクラよりも、林の中に見えるコバノミツバツツジには、存在感を感じるとともに、何か奥ゆかしさも感じられます。
- 作者: 中西哲,大場達之,武田義明,岡部保
- 出版社/メーカー: 保育社
- 発売日: 1983/06/05
- メディア: 単行本
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