ないないづくし

ote2005-04-06


 今日届いた中等教育資料4月号*1に、おもしろいエッセイがのっていました。三遊亭金馬さんが寄稿したものですが、先年訪れた新潟県堀の内の永林寺で見つけたパンフレットの内容から文章を起こしたものです。その内容は、「育児 ないないづくし」というものです。

1.暖房効かせて 寒さがない
1.冷房の中で 暑さがない
1.おやつが過ぎて 腹へらない
1.歩かせないので 疲れがない
1.おもちゃやり過ぎ 興味がない
1.テレビ見過ぎ 考えない
1.なんでもホイホイ 我慢がない
1.点数以外は 関心ない
1.判っているけど 行わない
1.これではまともに 育たない
金馬さんは、これらに加えて、「叱られないから 痛みが分からない」と続け、さらに、親による子どもへの虐待へと話を続けています。


 わたしの子どもとこの「育児 ないないづくし」とを照らすと、大変耳が痛くなります。息子も娘も、点数にすら興味がないので困ってしまいます (^_^) 。ついでに自分を省みると、これらすべて自分に当たっているではありませんか (*_*) 。皆さんはどうでしょうか。


 わたしが幼い頃、もちろん家には居心地のよい暖房や冷房はありませんでした。夏は汗をかくので、お風呂上がりに、天花粉をたたいてもらうのが楽しみでした。お菓子はもちろんありましたが、お菓子の袋をかかえて食べたような記憶はありません。何よりも楽しみは、緑色やオレンジ色の粉を冷たい水に溶かして飲むジュースでした。袋も開いて、こびりついた粉を舌でなめたほどです。テレビも子ども向けの番組は限られていました。何時間も何時間もアニメが続くようなことはなかったと思います。
 しかし、それから時がたって振り返ると、子どものみならず、わたし自身も「ないないずくし」になっていることに気がつかされます。


 かつて社会では、Wスタンダード*2が当たり前に許されていました。大人の基準と子どもの基準がありました。ですから、大人のある行動や状況を、子どもたちは大人だから仕方がないと考えていたように思います。例えば、母校の高校の食堂では、生徒が食事をする場所とは別に、ウインドウで隔離された先生のための広いスペースがありました。それについて、私たちは当たり前だと思っていました。
 しかし、今は違うのではないのでしょうか。大人だから仕方がないというのは、子どもには通用しにくくなっているのではないでしょうか。
 「大人は大人、子どもは子ども」って間違っているでしょうか。そんなことはないと思います。しかし、目に余るような行動は、子どもたちには見せたくないですね。

*1:文部科学省教育課程課編集:ぎょうせい 480円

*2:2つの基準