小池由美子『学校評価と四者協議会』−草加東高校の開かれた学校づくり−を読みました。



 夏期休業になって、日曜日以外に丸1日休みが取れたのは今日で2回目。でも、何かしようという意欲はなく、だらだらと1日過ごしてしまいました。でも、本を読めたことが収穫。小池由美子『学校評価と四者協議会』−草加東高校の開かれた学校づくり−を読みました。


学校評価と四者協議会―草加東高校の開かれた学校づくり

学校評価と四者協議会―草加東高校の開かれた学校づくり


 学校評価は何のために行うのか。文部科学省の「学校評価ガイドライン」には次のようにあります。

  1. 各学校が、自らの教育活動その他の学校運営について、目指すべき目標を設定し、その達成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価することにより、学校として組織的・継続的な改善を図ること。
  2. 各学校が、自己評価及び保護者など学校関係者等による評価の実施とその結果の公表・説明により、適切に説明責任を果たすとともに、保護者、地域住民等から理解と参画を得て、学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりを進めること。
  3. 各学校の設置者等が、学校評価の結果に応じて、学校に対する支援や条件整備等の改善措置を講じることにより、一定水準の教育の質を保証し、その向上を図ること。

簡単に言うと、第一に組織改善のため、第二に説明責任を果たすため、第三に学校のガバナンス(管理・運営)改革のためです。


 「開かれた学校づくり」を推進するために自己評価を評価する学校関係者評価を行います。文部科学省は、教職員や保護者、地域住民等が学校運営について意見交換し、学校の現状や取組を知り課題意識を共有することにより、相互理解を深めることが重要だとしています。その学校関係者評価として、生徒代表が入ることが埼玉県の学校自己評価システムの特徴です*1草加東高校が研究指定校として、教職員、保護者、地域代表そして生徒の四者の協議会である「学校評価談話会」を設置して、開かれた学校づくりに取り組んだ実践記録を紹介したものが本書です。


 生徒がどのような役割を果たしているのかが想像できませんでした。本書を読んでなるほど。例えば、携帯電話の学校への持込みについて提案したり、英語の授業にかかわった授業改善、制服のリニューアル、ルーズソックス、部活動指導について意見を述べたりします。生徒と教員のやりとりだけで十分だろうと思うかもしれませんが、保護者や地域代表が意見を交換することにより、四者間の信頼関係が構築され、何より教員の意識も変わったそうです。本書では、四者の「参加」と「共同」の学校づくりといっています。ところで、本書では意志決定機関がどこにあるのかは書かれていません。おそらく、職員会議を補助機関とする学校長が意志決定を行うのでしょう。


 本書が、生徒が参加する根拠として「子どもの権利条約*2を根拠としたり、トップダウンではなくボトムアップこそが「開かれた学校づくり」に必要であったりと熱心に強調しているのは著者である小池由美子さんのキャリアや考えからきているものかもしれません。間違えだとは思いませんが (^_^) 。それにしても、埼玉県の学校評価システムは、私の地元よりも進んでいます。


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*1:学校において、当該年度の教育活動等の達成状況に関して、学校自己評価の結果を踏まえた意見交換等を通じて評価を行い、学校の自律的改善を図るため、校長は、学校関係者及び生徒から構成する学校評価懇話会を設置するものとする。

*2:おそらく、12条意見を表明する権利や13条表現の自由の権利。