『明日の記憶』 −人権教育−


 今日の4,5時間目*1は人権教育でした。今日は講堂で渡辺謙主演の『明日の記憶』を視聴しました。今日もわたしは司会役で,映画の前振りをしました。わたし自身の物忘れのこと。映画のエピソードとして,ハリウッドにいた渡辺謙さんがこの作品に出演したくて,作者の萩原さんに手紙を送ったこと。また,自らの白血病の闘病をこの作品と重ね合わせて演技をしたこと。監督の堤幸彦さんがドラマ「金田一少年の事件簿」「ケイゾク」「TRICK」の監督であることを生徒に話しました。

   

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 渡辺謙扮する主人公は49歳。わたしと同い年です。広告代理店に勤める「ビシッと行こうぜ」が口癖の仕事一筋の部長です。しかし,物忘れがひどくなり,同じものをいくつも買ったりします。それで病院へ行き,アルツハイマー症候群であることが告げられます。樋口可南子扮する妻は,渡辺謙に寄り添って介護をします。最後に渡辺謙が妻のことを忘れてしまうシーンがありました。いなくなった夫を捜しに来た樋口可南子が「あなた」と声をかけます。「どうしました。大丈夫ですか。」「駅まで行くんですけど。よかったら。」と渡辺謙が言います。その時,樋口可南子がどんな表情で答えるだろうかと一瞬おもいました。樋口可南子はほんの少しだけ微笑んで「はい」と答えました。少し安堵するとともに目頭が熱くなってきました。


 記憶を失う恐怖というのは,アイデンティティを喪失する恐怖であり,若年性アルツハイマー症候群ではそれが急速に進行するのでその恐怖が増幅されるのでしょう。老いはそれがゆっくりと進行するので,あきらめ,納得感があるのでしょうか。映画が終わりHRへ行くと,数人の女生徒が涙を流していました。わたしは生徒がどの立場に立ってこの映画を見ていたのかが知りたくなりました。わたしはもちろん渡辺謙の立場に立って見ていました。生徒に聞いてみると,女生徒は妻の立場で見ていたようです。


 日ごろ受験勉強に追われている生徒にとっては,家族や自らを見つめ直すひとときになりました。


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*1:本校は65分5限授業です。