福岡伸一「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書 を読みました


生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)


 5月の末に買ってから少し読み始め、最近までほったらかしになっていました。「読み始めたらとまらない 極上の科学ミステリー 生命とは何か?」というキャッチコピーが帯にあるとおり、本をほったらかしにしていていうのも変ですが、まさにその通りです。筆者の体験に引っかけながら様々な生物学上のエピソードがあったり、読みやすい文体が難しい内容をおそらく分かったかのようにさせるのでしょう。


 前半は、黄熱病の野口英世、形質転換のエイブリー、シャルガフの法則のシャルガフ、PCR法のマリス、DNA二重らせんのワトソン&クリック、DNAX線回折のフランクリン、「What is Life?」のシュレーディンガーなどの話を基にして、生命研究の変遷について語っています。後半は、トレーサー実験法を開発したシェーンハイマーとそれを利用してすい液の分泌の詳細を調べたパラーディ、そして、パラーディの研究にかかわった筆者が取り組んでいるゴルジ体から小胞を形成するの役立っているGP2タンパク質の研究を通して、「生命という動的平衡」について述べています。


 シェーンハイマーが重窒素ロイシンを用いてネズミの代謝のようすを調べる実験を行いましたが、光合成経路の研究やハーシーとチェースの実験などで用いられるトレーサー実験法の発想の原点がここにあることに感心させられました。また、筆者が研究を進めている小胞体(ゴルジ体)のリン脂質にくっついたGP2タンパク質が小胞を形成するモデルも初めて知りました。


 この本ですが、最近あるWebの週刊ビジネスランキングで一位になっていました。ビジネスマンがどんどん買っていくのですね。朝日新聞によると、書店よりもネット経由で売れているそうです。ブログなどにも多く取り上げられ、それらに牽引され売れているとのことです。今から、ビジネスマンがどのようにこの本を読んでいるのか、調べてみたいと思います。(^_^)

 
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