「どうあるべきか」から「どうしたいか」へ

ote2006-02-26



 昨日,NHKスペシャル「荒川静香 金メダルへの道」を見ました。

 荒川選手は8年前の長野五輪に16歳で出場し,13位。おととしの世界選手権では安定感のあるジャンプと高いスケーティング技術で優勝を果たし,世界チャンピオンになった。しかし,その後新たに採用された採点法によって,荒川選手の持ち味であるスケールの大きな美しい演技が高得点に結びつかなくなった。最高ランク「レベル4」の技術をどうやって身につけるか,荒川選手は苦闘を続けてきた。金メダルは,「レベル4」の高い技術と演技の美しさを見事に調和させた結果であった。
 NHKがこれまで密着取材してきた映像を軸に,金メダル獲得までの,知られざる長い戦いを描く。


 人は困難に直面したときに,どのような行動をとるのでしょうか。例えば,上司から,新しい知識を身に付けなければできない仕事を期限付きで申し渡されるとします。ある人は,上司にそれが自分にできない理由を言うでしょうし,ある人は,表面上は承諾しながらも,愚痴を言いながら仕事をするでしょう。また,ある人は,無難に済ませてしまおうと考えるでしょう。

 
 新たな採点法を克服しなければならない荒川静香の場合は,どうだったのでしょうか。オリンピック直前に具体的な行動をとりました。3シーズンにわたって指導を受けたタラソワコーチから離れ,実際に滑って教えてくれる若いニモロゾフコーチとコンビを組みました。また,フリープログラムの曲を,世界選手権で優勝したときの,イタリアの作曲家プッチーニによる歌劇「トゥーランドット」に変更しました。


 彼女は,勝つためには,「レベル4」の技術を審判員に示す演技をすべきだとタラソワコーチとともに考え,練習してきました。しかし,「レベル4」の練習に精力をそそぐ中で悩み,オリンピック直前に,自分が「どうしたいのか」を改めて考えました。そして,「レベル4」の技術のみを向上させるのではなく,持ち味のスケールの大きな美しい演技を大切にしたいという考えにいたりました。


 課題の解決ができない人は,無気力感にさいなまれます。その時に,自分は「どうあるべきか」ということに固執してしまうと,それが強迫観念になってしまいます。それよりも,自分が何をしたいのか「どうしたいのか」と自分の考えをはっきりさせることにより,気力が高まります。荒川静香の成功は,このようなところにあったのではないでしょうか。


 大柄の身体を生かした,手足の表現力があるスケールの大きな演技は,それを見るものに感動を与えてくれますね \(^O^)/ 。


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