中教審教育課程部会発「学習指導要領の見直しに向けて」

「生きる力」の育成をめざす教育内容・

 

 10月26日の中央教育審議会「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」において、教育内容の改善についても基本的な考え方が示されました。現在、教育課程部会において、学習指導要領の見直しについて審議がなされています。年明けにも部会の取りまとめが出される予定です。


 中央教育審議会教育課程部会の議事録や配付資料を見ると、その流れが見えてきます。力を注いでいるのが、具体的なレベルでの育むべき目標の設定とその体系化です。現行の学習指導要領ではこの点が不明確だといわれていました。


 例えば、教科で育むべき力の「確かな学力」は、知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの、と示されていました。これでは、具体的な手立てが見えてきません。


 教育課程部会「『生きる力』の育成をめざす教育内容・育むべき力の構造(イメージ図)」では、「確かな学力」の「自ら学び自ら考える力」が、次のように示されています。

「自ら学び自ら考える力」

  • 情報を得、思考・表現する力

 例:読んだことを基に、A4の一枚で自分の考えをわかりやすく表現

  • 仮説を立て、観察・実験、討論、論証する力

 例:情報を整理し、分類し、関連付け、表・グラフ・図にまとめる

  • 体験から感じ取ったことを表現する力

 例:感じ取ったことを言葉や歌、絵、身体で表現

  • 学習意欲や学習習慣

 例:読書習慣


 これまで、文部科学省は、「生きる力」について、「理念は示したがその手立てを明確に示さなかったので、その趣旨を徹底することができなかった」とコメントしていました。そのことを、評論家から、「文部科学省は『伝言ゲーム』の失敗のせいにしている」と揶揄されていました。


 教育のプロは、理念からそれぞれの持ち味を生かして指導内容を設定し、目標を達成することが基本だと思います。しかし、組織として共通理解を図り、学力向上を目指すならば、このような具体例が示されることは望ましいことだと思います。


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