電子辞書

電子辞書



 ひょんなことから電子辞書をもつことになりました。と書いたら不謹慎でしょうか。実は父の形見なのです。父は先月の22日に他界しました。享年77歳でした。


 父のC型肝炎ウイルスの感染が分かったのが15年ぐらい前でしょうか。インターフェロンの投与を2回行いましたが、ウイルスを駆逐できず、4年前より肝臓ガンになりました。そして、この9月上旬より腹水がたまり、一時減ったものの、10月に入り再び腹水がたまりました。10月上旬に入院をしたときには、お医者さんから、血液検査からは今日明日何が起こっても不思議ではない、10月末までもたないだろうと言われました。それから、ことあるたびに、同じことを言われましたが何も起こらず、このまま小康状態が続くのだと思っていました。


 22日、母親が病院へ行くと、父の顔が昨日とうって変わってむくんでいたそうです。父は夕方4時半ごろに、いつもと同じように母親とひとしきり話した後、静かに息をひきとりました。母親は眠ったかと思ったそうです。当日私は出張で、7時頃に病院にかけつけたときには、父は手を組んで、寝台に横たわっていました。


 さて、電子辞書ですが、父が他界する1週間前に買ったものです。父は私に、「最近字を忘れてしまう、退院したら短歌をつくってみたいので、広辞苑が入っている電子辞書が欲しい、あんたがいいと思うものを買ってきてくれ」と言いました。母と病院を出てから、閉店間際の大型電気店へ飛び込んで購入しました。


 次の日病室へ持っていき、使い方を説明しました。しかし、電子辞書は病気の身には結構重たく、なかなか見ることができなかったようです。亡くなってから電子辞書を開くと、広辞苑の「短歌」のページが画面に出てきました。


 父は亡くなるまで、何事にも前向きな人でした(^_^)。今私が読んでいる本は、宮城谷昌光楽毅」という小説です。難しい語句が多く、いつもなら雰囲気で難しい語句も読んでしまうのですが、今は電子辞書を引いています。
 「お父さん、ありがとう」


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