小学校教員の理科離れ

ote2005-05-07



 福井県小浜市のWebページに、文部科学省指定「理科大好きスクール」の実践報告が掲載されています。研究テーマは、「理科が好きな子どもと教師の育成を目指して」です。児童・生徒学力調査結果から研究主題や研究仮説を設定している、しっかりとした実践です。その中に次のような報告がありました。

 「できたら、理科だけは他の先生に受け持ってもらいたい」
 4月当初の時間割編成のときよく聞かれる言葉である。

 そこで、平成14年度に若狭ブロック小教研理科部会で、「理科好きの先生を育てるには?」「子どもや先生が理科好きになるとき」「理科が好きになるとは?」というテーマで情報交換誌を作成した。

 左上のグラフ*1は、小学校で理科を担当している先生91名にアンケートをした集計結果である。半数以上の先生が、教師の理科離れを感じていることが分かる。


 小学校の教員の大多数の方は、高校では文系に所属しています。高校では、生物、化学などを履修していると考えられますが、おそらくセンター入試は理科は生物1科目で受験しているでしょう。また、大学では「小学校理科」にかかわる授業はそう多くはありません。そのような状況で、半数以上の教員が「教師の理科離れ」を感じていても不思議ではありません。


 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科専門部会(H16.5)においても、「小学生の理科離れの実感はあまりないが、小学校教員に理科離れがあるのではないか」という理科教育の現状についての意見が示されています。決して、教員の理科離れ小浜市だけの話ではないのです。


 わが国では、10年以上も前から社会現象として「理科離れ」が騒がれており、様々な手が打たれているにもかかわらず、「いっこうに改善していない」といわれるのはなぜでしょうか。それは、小学校教員志望者や現職教員の理科の資質向上に本格的に取り組んでいないからではないでしょうか。


 単発的なおもしろ実験を児童に体験させても、多くは一過性で終わってしまいます。自然事象と児童がじっくりと向かい合う「理科の授業」を生かすことの方が大切です。そのためには、「急がば回れ」ではありませんが、小学校教員の理科の資質向上が一番効果的だと思うのです。皆さんどうでしょうか。


 小浜市の小学校の取組は、実験器具のデーターベース化の提案など、ユニークなものです。一度Webページをご覧ください。

*1:筆者が円グラフに直しました。